小児矯正で「失敗した」と感じる原因7選|よくある誤解と後悔しない対策
2026年01月22日
小児矯正で「失敗した」と感じる保護者が増えている理由
お子さんの歯並びを整えるために始めた小児矯正。
「きれいな歯並びになるはず」と期待していたのに、思うような結果が得られず後悔している保護者の方が少なくありません。近年、小児矯正を受けたものの「失敗した」と感じるケースが増加しており、その背景には治療方法や歯科医選びに関する誤解、そして患者側の協力不足など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
小児矯正は、成長期の顎の発育を利用して歯並びを整える治療法です。適切に行えば、将来的な抜歯リスクを減らし、健康的な咬み合わせを獲得できる可能性が高まります。しかし、治療の進め方や装置の選択、そして何より患者さん自身の協力度によって、結果は大きく左右されるのです。
この記事では、小児矯正で「失敗した」と感じる主な原因を7つに分類し、それぞれの具体的な背景と対策をご紹介します。後悔しないための歯科医選びのポイントや、治療を成功に導くための重要な心構えについても解説しますので、これから小児矯正を検討されている方、あるいは現在治療中で不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
原因1:装着時間が守られていない

小児矯正で最も多い失敗原因の一つが、装置の装着時間不足です。
取り外し可能なマウスピース型矯正装置や床矯正装置は、一般的に1日12〜14時間以上の装着が必要とされています。しかし、お子さん自身が装着時間を管理することは難しく、保護者のサポートが不十分だと、十分な効果が得られません。装着時間が守られないと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びるだけでなく、最悪の場合は装置が合わなくなり、作り直しが必要になることもあります。
装着時間不足が引き起こす具体的な問題
装着時間が不足すると、歯が後戻りしやすくなります。矯正治療では、歯に持続的な力をかけることで少しずつ移動させていきますが、装着時間が短いと、その力が十分に伝わりません。結果として、歯が元の位置に戻ろうとする力の方が強くなり、治療効果が相殺されてしまうのです。
また、装着時間の管理ができていないと、定期的な調整のタイミングで歯科医が適切な判断を下せなくなります。治療計画は装着時間が守られていることを前提に立てられているため、実際の装着時間が計画と大きく異なると、治療方針の見直しが必要になることもあります。
装着時間を守るための工夫
お子さんが装置を確実に装着するためには、保護者の積極的な関与が不可欠です。装着時間を記録するチェックシートを作成し、毎日一緒に確認する習慣をつけると良いでしょう。また、装着を忘れないように、食事の後や就寝前など、決まったタイミングで装着するルーティンを確立することも効果的です。
お子さんのモチベーションを維持するために、装着時間の目標を達成したらご褒美を用意するなど、ポジティブな動機づけを行うことも有効です。ただし、ご褒美は甘いものではなく、お子さんが喜ぶ別の形にすることが望ましいでしょう。
原因2:保定装置の使用を怠った
矯正治療が終了した後の「保定期間」を軽視することも、失敗の大きな原因です。
動的治療が完了し、きれいに並んだ歯並びを維持するためには、保定装置(リテーナー)の使用が必須です。保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや咬み合わせの「後戻り」が生じる可能性があります。特に治療直後は歯が動きやすい状態にあるため、保定装置の装着を怠ると、せっかく整えた歯並びが元に戻ってしまうリスクが高まります。
保定期間の重要性
保定期間は、矯正治療において最も軽視されがちな段階です。しかし、歯並びは永久的なものではなく、加齢とともに徐々に変化していきます。保定装置を用いたメンテナンスは、きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するために必要なアンチエイジングの一環と考えるべきです。
保定期間中は、定期的に歯科医院を受診し、歯並びの状態をチェックしてもらうことが重要です。後戻りの兆候が見られた場合、早期に対処することで、大きな問題に発展することを防げます。
保定装置の管理方法
保定装置は取り外し可能なタイプが多いため、紛失や破損のリスクがあります。外食時にティッシュペーパーに包んでテーブルに置き、そのまま誤って捨ててしまうケースや、自宅でケースに入れずに保管していて、ペットに噛まれて破損してしまうケースが少なくありません。
保定装置を取り外した際は、必ず専用のケースで保管する習慣をつけましょう。また、定期的に装置を洗浄し、清潔に保つことも大切です。保定装置が破損したり紛失したりした場合は、すぐに歯科医院に連絡し、作り直しの手配をしてください。
原因3:口呼吸や舌癖などの悪習慣が改善されていない
歯並びが悪くなる根本的な原因の一つが、口腔周囲筋の機能不全です。
口を閉じている際に舌先が歯の裏に当たっている「舌癖」や、食事を飲み込む際に舌が前側に出て行ってしまう「逆嚥下」、そして「口呼吸」などは、口腔周囲筋の機能不全をもたらし、歯並びに悪影響を及ぼします。これらの悪習慣が改善されないまま矯正治療を行っても、装置を外した後に歯並びが再び悪化する可能性が高くなります。
口呼吸が歯並びに与える影響
口で呼吸していると、舌は下顎に沿った状態になります。これは、上顎の成長を阻害し、歯並び悪化の原因となります。また、病原菌が粘膜に直接付着しやすくなるため、風邪などの病気の原因ともなります。口呼吸の習慣がある場合、矯正治療と並行して、鼻呼吸への改善トレーニングを行うことが重要です。
舌癖の矯正方法
舌先は、上の前歯の付け根より少し手前に当たっている状態が正しい位置です。舌癖がある場合、歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)などを使用して、舌の位置を正しい位置に導くトレーニングを行います。マイオブレースは、歯を直接動かすのではなく、習慣の改善から歯並びを悪化させないようにするトレーニングによって行う方法です。
舌癖や口呼吸の改善には、お子さん自身の意識と努力が必要です。保護者の方は、お子さんが正しい舌の位置や鼻呼吸を意識できるよう、日常的に声をかけてサポートすることが大切です。
原因4:精密検査や診断が不十分なまま治療を開始した

矯正治療に入る前に必ず行うべき精密検査と診断が不十分なまま治療を開始することも、失敗の大きな原因です。
精密検査もせずに装置を装着するのは「あり得ない」ことですが、実際には、踏むべきプロセスを踏まずに治療に入ることで、顔だちや歯列のアンバランスを招いたり、上下の歯がきちんと咬み合わないというトラブルにつながるケースが少なくありません。矯正治療は専門性の高い分野であり、患者さん一人一人の上下の歯のバランスや歯並び、咬み合わせの状態を診て適した治療を行う必要があります。
精密検査の重要性
精密検査では、お口やお顔の写真の撮影、レントゲン撮影、お口の内のスキャンなどを行い、現在のお口の状態や身体の状態を詳しく把握します。これらのデータをもとに、歯科医は治療計画を立案し、患者さんに詳しく説明します。精密検査を省略すると、歯が並ぶスペースが不足しているのに無理に並べようとしたり、骨格的な問題を見落としたりする可能性があります。
診断に基づいた治療計画
診断では、患者さんの現在の歯並びやお口の状態について詳しく説明し、治療の流れや費用などについて案内します。治療計画は、患者さんの年齢、歯並びの状態、骨格の特徴、そして患者さん自身の希望を総合的に考慮して立てられます。診断が不十分だと、治療の途中で計画の大幅な変更が必要になったり、期待した結果が得られなかったりすることがあります。
矯正治療を検討する際は、精密検査と診断をしっかり行ってくれる歯科医院を選ぶことが重要です。初回相談時に、検査内容や診断プロセスについて詳しく説明してくれるかどうかを確認しましょう。
原因5:非抜歯矯正への誤解と無理な治療
「歯を抜かないで矯正できる」という安易な非抜歯矯正への期待も、失敗の原因となることがあります。
「床矯正という装置をつけてあごを広げれば、歯を抜かなくても矯正できる」など、医学的根拠を欠いた説明が一部で行われていることが問題視されています。成長期のお子さんの場合、上あごは床矯正の装置をつけることで歯列はある程度広げることはできても、あごそのものは広がりません。また、下あごは骨の構造的に拡大できず、下あごを広げようとしてもあご自体は広がらず、単に下の歯列を扇のように傾斜させてしまうことになります。
非抜歯矯正の適応と限界
非抜歯矯正は、すべてのケースに適用できるわけではありません。歯が並ぶスペースを確保するための方法には、大きく分けて「歯を抜いてスペースを作り出す方法」と「歯を抜かないでスペースを作り出す方法」の2種類があります。非抜歯矯正では、倒れて狭くなった歯槽骨を本来の位置に起こしたり、口の奥の方へ歯を移動させたりすることで、歯が並ぶスペースを確保します。
しかし、骨格的な問題が大きい場合や、歯の大きさと顎の大きさのバランスが極端に悪い場合は、非抜歯での治療が困難なこともあります。無理に非抜歯で治療を進めると、口元が前に出て「ゴリラ顔」のような印象になったり、咬み合わせが不安定になったりするリスクがあります。
適切な治療方法の選択
重要なのは、「非抜歯で行うこと自体が目的」になってしまわないことです。歯が並んでいない原因を突き止め、歯が並ぶスペースを確保することが本来の目的です。精密検査と診断に基づいて、患者さん一人一人に最適な治療方法を選択することが、成功への近道となります。
「100%非抜歯でできます」というような、非抜歯で行うこと自体が目的になってしまっているクリニックには注意が必要です。抜歯が必要なケースでは、その理由を丁寧に説明し、患者さんが納得した上で治療を進めてくれる歯科医を選びましょう。
原因6:矯正歯科専門医ではない歯科医による治療
矯正治療は専門性の高い分野ですが、矯正を専門に学んだことがない一般歯科医でも行えるため、矯正医の知識や技術は千差万別です。
矯正歯科が専門ではない歯科医が経験不足のまま治療するケースや、非常勤歯科医が担当するなど診療態勢が整っていない環境での治療は、失敗のリスクを高めます。矯正治療だけを行う専門家は、患者さん一人一人の上下の歯のバランスや歯並び、咬み合わせの状態を診て適した治療を行いますが、綿密な検査や診断を行うことなく安易に治療してしまうと、後で大きな問題を招くことがあります。
矯正歯科専門医の重要性
矯正歯科専門医は、矯正治療の専門教育を受け、豊富な臨床経験を積んでいます。日本矯正歯科学会の有資格者などは、一定の基準を満たした専門家として認められており、安心して治療を任せることができます。専門医は、複雑な症例にも対応できる知識と技術を持っており、治療中に予期せぬ問題が発生した場合でも、適切に対処できる能力があります。
診療態勢の確認
矯正治療は長期間にわたるため、担当医が一貫して診療してくれるかどうかも重要なポイントです。非常勤の歯科医が担当する場合、診療日が限られていたり、担当医が変わったりすることがあり、治療の継続性に問題が生じる可能性があります。また、矯正治療だけでなく、虫歯治療や歯周病治療にも対応できる総合的な診療態勢が整っているかどうかも確認しましょう。
矯正治療を始める前の初期処置(虫歯や歯周病の治療など)や、矯正中の口内環境維持は、治療の成功に大きく影響します。矯正専門のクリニックでは、こうした内容に対応してくれない場合が多いため、総合的な歯科治療を提供できる医院を選ぶことが望ましいでしょう。
原因7:治療中の虫歯や歯周病の発生

矯正治療中は、装置が歯の表面に付いているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病が生じるリスクが高まります。
適切な口腔ケアを行わないと、治療中に虫歯や歯周病が発生し、矯正治療を一時中断して虫歯治療を優先しなければならないこともあります。虫歯や歯周病が進行すると、歯の移動が困難になったり、治療計画の変更が必要になったりすることもあります。
矯正治療中の口腔ケア
矯正治療中は、通常よりも丁寧な歯磨きが必要です。装置の周りに食べカスや歯垢が溜まりやすいため、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも活用して、隅々まで清潔に保ちましょう。また、フッ素入り歯磨き粉を使用することで、虫歯予防効果を高めることができます。
取り外し可能なマウスピース型矯正装置の場合は、装置自体の洗浄も重要です。装置を装着している間は、唾液によるお口の自浄作用が働きにくくなるため、手入れを怠ると装置の内側で細菌が繁殖しやすくなります。毎日の歯磨きと合わせて、マウスピースも清潔に保つという衛生管理への意識が求められます。
定期的な歯科検診
矯正治療中は、定期的に歯科医院を受診し、虫歯や歯周病のチェックを受けることが大切です。早期に問題を発見できれば、治療への影響を最小限に抑えることができます。また、歯科医や歯科衛生士から、効果的な歯磨き方法や口腔ケアのアドバイスを受けることも、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。
矯正治療と虫歯治療の両方に対応できる歯科医院を選ぶことで、万が一治療中に虫歯が発生した場合でも、スムーズに対処してもらえます。矯正専門のクリニックでは虫歯治療に対応していないことが多いため、総合的な歯科診療を提供している医院を選ぶことをおすすめします。
後悔しないための歯科医選びのポイント

小児矯正を成功させるためには、適切な歯科医選びが不可欠です。
まず、矯正治療の専門教育を受け、豊富な臨床経験を積んでいる歯科医を選びましょう。日本矯正歯科学会の有資格者や、矯正歯科を専門とする歯科医は、高度な知識と技術を持っており、安心して治療を任せることができます。初回相談時に、歯科医の経歴や専門性について確認することをおすすめします。
精密検査と診断を重視する医院
治療を始める前に、精密検査と診断をしっかり行ってくれる歯科医院を選びましょう。検査内容や診断プロセスについて詳しく説明してくれるかどうかを確認し、納得できるまで質問することが大切です。また、治療計画についても、メリットだけでなくリスクや注意点についても丁寧に説明してくれる歯科医を選びましょう。
総合的な歯科診療を提供している医院
矯正治療だけでなく、虫歯治療や歯周病治療にも対応できる総合的な診療態勢が整っている医院を選ぶことをおすすめします。矯正治療中に虫歯や歯周病が発生した場合でも、同じ医院で対処してもらえるため、治療がスムーズに進みます。また、矯正治療前の初期処置や、矯正中の口内環境維持についても、適切にサポートしてもらえます。
コミュニケーションを重視する医院
矯正治療は長期間にわたるため、歯科医とのコミュニケーションが重要です。患者さんの疑問や不安に丁寧に答えてくれる歯科医、治療の進捗状況を定期的に説明してくれる歯科医を選びましょう。また、お子さんとのコミュニケーションも大切です。お子さんが安心して通院できる雰囲気の医院を選ぶことで、治療への協力度も高まります。
まとめ:小児矯正を成功させるために
小児矯正で「失敗した」と感じる原因は、装着時間不足、保定の怠り、悪習慣の未改善、不十分な検査・診断、非抜歯矯正への誤解、専門医以外による治療、そして治療中の虫歯・歯周病など、多岐にわたります。
これらの失敗を避けるためには、まず適切な歯科医選びが重要です。矯正歯科の専門教育を受けた歯科医、精密検査と診断を重視する医院、総合的な歯科診療を提供している医院を選びましょう。また、治療中は装着時間を守り、保定期間も継続的にケアを行い、口呼吸や舌癖などの悪習慣を改善することが大切です。
小児矯正は、お子さんの将来の健康と美しい笑顔のための重要な投資です。正しい知識を持ち、適切な歯科医と協力しながら治療を進めることで、後悔のない結果を得ることができます。これから小児矯正を検討されている方は、この記事でご紹介したポイントを参考に、お子さんに最適な治療を選択してください。
むらせ歯科千葉みなと院では、日本矯正歯科学会有資格者(非常勤)が在籍し、専門的な矯正治療を提供しています。精密検査と診断に基づいた治療計画の立案、矯正治療と同時に虫歯・歯周病治療にも対応できる総合的な診療態勢、そして患者さんとのコミュニケーションを重視した治療を行っています。小児矯正についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。







