子供の歯並びは遺伝?環境要因?原因を知って適切な予防と対策を
2025年11月24日

「うちの子の歯並び、このままで大丈夫かしら…」
お子さんの歯並びについて、不安を感じている保護者の方は少なくありません。特に、ご自身やパートナーの歯並びが良くない場合、「遺伝するのでは」と心配されることも多いでしょう。
実は、子供の歯並びには遺伝的要因と環境要因の両方が関係しています。遺伝的要因が約2割、環境要因が約8割という研究結果もあり、日々の生活習慣が歯並びに大きく影響することがわかっています。つまり、適切な予防と対策を行うことで、歯並びの悪化を防ぐことができるのです。
本記事では、子供の歯並びに影響する遺伝的要因と環境要因について詳しく解説し、年代別の具体的な予防策をご紹介します。お子さんの健やかな成長をサポートするために、ぜひ参考にしてください。
子供の歯並びと遺伝の関係〜どこまで遺伝するのか
歯並びは遺伝するのでしょうか?
結論から申し上げると、歯並びは遺伝します。顔や背の高さ、声が遺伝するように、歯並びも同様に遺伝的な影響を受けます。ただし、遺伝的要因が占める割合は約2割程度とされており、残りの約8割は環境要因によるものです。
遺伝する要素とは
歯並びに関して遺伝する主な要素は以下の通りです。
- 顎の大きさや形状
- 歯の大きさや形
- 上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)の傾向
- 歯のエナメル質の厚さや強度
- 唾液の量や質
遺伝が原因で歯並びが悪くなるケースの多くは、顎の大きさと歯の大きさのバランスが悪い場合です。例えば、小さな顎に大きな歯が生えようとすると、スペースが足りずに歯が重なったり、ガタガタになったりします。また、両親の上顎前突や下顎前突が遺伝することもあります。
遺伝だけでは決まらない理由
しかし、遺伝的要因があるからといって、必ずしも歯並びが悪くなるわけではありません。
人間の体は、ちゃんと成長するDNAを持っています。歯並びが悪くなるようにDNAは組み込まれていないのです。ところが、社会環境が大きく変化し、ライフスタイルも短期間で変わりました。軟食が増えたり、鼻炎の子供が増えたり、外で遊ばない子供が増えたりと、歯に直接関係ないと思えるような要因によって歯並びが悪くなることがわかってきたのです。
つまり、遺伝的な素因があっても、環境を整えることで歯並びの悪化を防ぐことができるということです。
歯並びを悪くする環境要因〜生活習慣が与える影響

歯並びに影響する環境要因は多岐にわたります。
特に幼少期の生活習慣が、将来の歯並びに大きく影響することがわかっています。ここでは、歯並びを悪くする主な環境要因について詳しく見ていきましょう。
口呼吸と舌の位置
最近特に多いのが、子供の口呼吸です。
本来、呼吸は鼻で行うものですが、アレルギーが増えてきてしまい、鼻で呼吸ができず口で呼吸する子供がとても増えました。口で呼吸をするということは、ずっと口が開いていると考えてください。すると、舌は上顎にくっついていませんよね。
歯並びは、舌と唇の力関係の結果なのです。舌は歯を内側から外に押す力、唇は歯を外側から内側に押す力があります。この内側からの力と外側からの力のバランスが取れている人は歯並びが綺麗です。
しかし、口呼吸をしていると、上顎についていうと内側から外側に押す力が働いていないということになります。つまり、外側から内側に押す唇の力が優位になるのです。結果的に顎が狭くなり、歯並びがガタガタになってしまいます。
指しゃぶりや舌癖
以下のような習慣がある場合は注意が必要です。
- 指しゃぶり
- 舌の癖(舌で前歯を押す、舌を出す)
- 頬杖をつく
- 姿勢が悪い
これらの習慣は、歯に持続的な力を加えることで、歯並びを悪化させる原因となります。特に指しゃぶりは、前歯を前方に押し出し、出っ歯の原因になることがあります。また、頬杖をつく習慣や、いつも同じ方向を向いて眠る習慣がある場合、すきっ歯になることもあります。
食生活と咀嚼習慣
固い物を食べずに柔らかいものばかり食べることで、顎の発育が悪くなり、歯並びが悪くなることもあります。
人間の口は、奥歯で固い物をまずは左右にすり潰すようにかみ砕き、かみ砕いた食べ物を前歯に移動して上下運動によって噛み、咀嚼して飲み込むようにできています。柔らかいものばかり食べていると、前歯だけで食べ物を噛んで飲み込むので、顎が発達しません。
子供の好きな食べ物は、柔らかい食べ物が多いです。カレーやハンバーグ、グラタンなどの子供の好きな料理は、多くの場合ほとんど噛まなくても食べられます。子供が好きな食べ物ばかり食べさせるのではなく、根菜やタコ、イカなどの噛み応えのある体に良い食べ物も積極的に食べさせるようにしましょう。
虫歯と歯並びの関係
乳歯の虫歯も歯並びが悪くなる原因です。
「乳歯は生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」と考えている方はご注意ください。乳歯の虫歯が増えると、噛む際に悪い癖がついてしまったり、本来の生え変わりのタイミングよりも早くに乳歯が抜けてしまうことがあります。その結果、永久歯が生えるスペースがなくなり歯並びが悪くなります。
乳歯が虫歯になることで抜歯しなければならなくなると、それだけで顎や顔の歪みの原因にもつながります。甘い食べ物や飲み物を与えすぎず、歯磨きの際には仕上げ磨きもしてあげることで虫歯を予防するようにしましょう。
年代別・歯並び予防と対策の具体的方法

歯並びの予防と対策は、年代によって異なります。
ここでは、妊娠期から学童期まで、それぞれの時期に適した具体的な予防策をご紹介します。お子さんの成長段階に合わせて、できることから始めてみましょう。
妊娠期・乳幼児期の対策
歯並び予防は、実は妊娠期から始まります。
保護者の口腔ケアを整えることが重要です。家族の虫歯や歯周病の治療とクリーニングを先に行うことで、家庭内の菌量が下がります。乳幼児期に、保護者とスプーン・箸・コップの共有や、口移しなどで唾液を介して虫歯の原因菌が早期に定着しやすくなることがあるためです。
ただし、子育てではスキンシップも大切です。過度に恐れるより、以下の対策を淡々と続けることが現実的で効果的です。
- 食器の共有を控える(同じスプーン・箸・ストローはなるべく別に)
- 前歯が生え始めたらガーゼや歯ブラシで毎日仕上げ磨き(就寝前は必ず)
- 寝る前の甘い飲料・ジュースの常用は避ける(水やお茶を基本に)
学童期の対策
学童期は、永久歯への生え変わりが始まる重要な時期です。
この時期の対策としては、以下のようなものがあります。
- だらだら食べをやめる(間食は時間と回数を決めて、口の中を休ませる時間を作る)
- フッ化物配合歯みがき剤の活用(エナメル質の再石灰化を助ける)
- 部活とスポーツドリンクの関係に注意(砂糖入り飲料を「ちびちび」飲むと高リスク。水で口をすすぐ、時間を決めて飲むに変更)
- 定期検診でシーラント等の予防処置を検討(溝が深い奥歯はシーラント(溝のコーティング)が有効な場合がある)
また、固い食べ物もバランスよく食べさせることが大切です。よく噛むことによって、顎の骨の血流を良くして、顎の成長を促進します。そして、よく運動することによって、力を出す時に歯を食いしばるので、同様に顎の血流を促進するのです。
生活習慣の見直しポイント
日々の生活習慣を見直すことも重要です。
以下のポイントを意識してみましょう。
- 指しゃぶりの癖を治す
- 姿勢が悪い際や頬杖をついている際に指摘してあげる
- 固い食べ物も食べさせる
- 鼻呼吸を意識させる
歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方に原因がある場合もあります。お子さんの正しい姿勢を獲得する訓練を行うことも大切です。
子供の矯正治療〜Ⅰ期治療とⅡ期治療について
環境要因に気をつけていても、歯並びに問題が生じることはあります。
そのような場合、子供の矯正治療を検討することになります。一般的に、子供の矯正治療は前半の「Ⅰ期治療」と後半の「Ⅱ期治療」の2段階で行います。ただし、歯並びの状態によっては、Ⅰ期治療のみで完了する場合もあります。

Ⅰ期治療の内容と目的
Ⅰ期治療で行うことは、主に口腔周囲筋のトレーニングです。
そもそも歯並びが悪くなってしまう原因は、お口周りの癖による口腔周囲筋の機能不全によるものが大きいです。口を閉じている際に舌先が歯の裏に当たっている「舌癖」や、食事を飲み込む際に舌が前側に出て行ってしまう「逆嚥下」、「口呼吸」なども口腔周囲筋の機能不全をもたらします。
このような、歯並びに対して悪影響を及ぼすものを「歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)」という方法で改善していきます。歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)矯正は、歯を直接動かすのではなく、習慣の改善から歯並びを悪化させないようにするトレーニングなどによって行います。
歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)は、以下のような歯並びを悪くする習慣を改善します。
- 口呼吸(口で呼吸していると、舌は下顎に沿った状態になり、上顎の成長を阻害する)
- 舌癖(口を閉じているときに、舌が常に歯に触れている状態)
始める年齢によって、取り組みが異なります。年齢に応じて、姿勢の訓練、インファントという取り外し可能なマウスピースの使用、マイオブレーストレーナーという装置を着用した舌・口・呼吸のトレーニングなどを行います。
Ⅱ期治療が必要なケース
Ⅰ期治療が完了しても、歯並びが悪かったり、歯が回転してねじれた状態で生えてきたり、上下の歯がうまく噛み合わなかったりといったトラブルは起こりえます。
こうした場合に、Ⅱ期治療を実施します。Ⅱ期治療が必要かどうかは歯科医でないと判断しにくい部分もあると思いますので、ぜひ専門医にご相談ください。プロの目で診断することで、成長していくにしたがって歯がどのように移動するかを予測します。治療が必要になる場合は、どれくらいの期間の治療が必要になるのかについてもお伝えいたします。
矯正治療のメリットと注意点
子供の矯正治療には、以下のようなメリットがあります。
- 成長を利用した治療が可能
- 治療期間が短く、費用も抑えられる可能性がある
- 多少噛み合わせに問題があっても、骨などの成長によって補ってくれることがある
ただし、矯正歯科治療には一般的なリスクや副作用もあります。装置装着後の違和感や痛み、虫歯・歯周病リスクの増加、歯根吸収、顎関節症状の発生などが考えられます。治療を検討する際は、これらのリスクについても十分に理解した上で、専門医と相談することが大切です。
むらせ歯科千葉みなと院の小児矯正について
お子さんの歯並びについて専門的な相談をしたい方へ。
むらせ歯科千葉みなと院では、日本矯正歯科学会有資格者(非常勤)が在籍し、専門的な矯正治療を提供しています。矯正治療の専門教育を受け、豊富な臨床経験を積んでいるドクターが、お子さん一人ひとりに合わせた治療計画を立案します。
当院の小児矯正の特徴
当院では、お子さんの身体的負担や経済的負担も軽くすることを重視しています。
そのため、なるべく患者さんに負担の少ないⅠ期治療だけで矯正が終了するように、治療計画を立案しています。Ⅰ期治療では、主に口腔周囲筋のトレーニングを行い、歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用して口呼吸や舌癖などの悪習慣を改善します。
また、矯正治療だけでなく、虫歯治療や歯周病治療にも対応しています。矯正治療は、矯正を始める前の初期処置(虫歯や歯周病の治療など)や、矯正中の口内環境維持が重要なのですが、矯正専門のクリニックでは、こうした内容に対応してくれない場合が多く見受けられます。当院では、矯正治療前の初期処置や矯正中の口内環境維持をサポートします。
透明で目立ちにくいマウスピース矯正
本格矯正が必要な場合、当院では透明で目立ちにくいマウスピース型矯正装置「インビザライン」を取り扱っています。
このマウスピース矯正の特徴は、透明で目立ちにくい点と、取り外しが可能なため口内の違和感が少ない点です。食事や歯磨きも通常通り行えるという利点があります。当院では、患者さんとのコミュニケーションアプリを導入し、歯の移動状況をスライドショーでチェックできるようにしています。
ただし、装着時間が守られない場合は適切な治療効果が得られないことや、大幅な歯の移動が必要な場合はマウスピースのみでの矯正が難しい場合があるという制約もあります。
顎関節に配慮した治療
歯並びが悪いことで噛み合わせが悪くなっている人には、顎の関節にもトラブルがあることがあります。
当院では矯正治療に入る前に、スプリント療法(別途費用11万円・税込)を行うことで、顎関節症などのトラブルも同時に改善していきます。これによって、顎関節症起因の頭痛や肩こり、顎の痛みや疲れ、歯ぎしり、顎の異音などの改善が見込めます。
まとめ〜子供の歯並びは環境次第で改善できる
子供の歯並びには、遺伝的要因と環境要因の両方が関係しています。
遺伝的要因が約2割、環境要因が約8割という研究結果が示すように、日々の生活習慣が歯並びに大きく影響します。つまり、遺伝的な素因があっても、適切な予防と対策を行うことで、歯並びの悪化を防ぐことができるのです。
口呼吸や指しゃぶり、舌癖などの悪習慣を改善し、固い食べ物もバランスよく食べさせ、虫歯予防を徹底することが大切です。また、乳歯を大切にし、定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し対処することができます。
成長過程にある子供の歯は、大人の歯に比べて動かしやすく、歯並び改善もしやすいと言えます。子供の歯並びが気になる場合は、生活習慣を見直す、子供のうちに矯正治療をすると良いでしょう。まずは子供の悪い癖を見直し、虫歯にさせないことで歯並び悪化を予防してみてはいかがでしょうか。
お子さんの歯並びについて不安がある方、専門的な相談をしたい方は、ぜひむらせ歯科千葉みなと院にご相談ください。日本矯正歯科学会有資格者が、お子さん一人ひとりに合わせた最適な治療計画をご提案いたします。







