矯正装置の違和感はいつまで?慣れる期間と対処法
2025年10月21日
矯正装置の装着直後に感じる違和感の正体
矯正装置を初めて装着したとき、多くの方が「何か異物感がある」と感じます。口の中に今までなかったものが入るわけですから、それは当然のことです。この違和感は装置のタイプによって異なる特徴を持っています。
ワイヤー矯正では、歯の表面に装着したブラケットやワイヤーが口内の粘膜に触れることで違和感を感じます。特に装着直後は、頬や唇の内側が擦れて口内炎ができることもあります。
一方、マウスピース矯正では、上下の歯全体を覆うことによる咬み合わせの違和感が主な原因です。常に歯の間に何かを噛んでいるような感覚があり、マウスピースの厚みによって奥歯が浮いたような感じがすることもあります。

私が東京歯科大学で学んだ経験から言えることですが、矯正装置による違和感は主に以下の3つの要素から生じます。
- ・装置自体の物理的な存在感
- ・歯に加わる矯正力による圧迫感
- ・口腔内環境の変化(唾液量の増加など)
これらの違和感は一時的なものであり、多くの場合、体が新しい環境に適応するにつれて徐々に和らいでいきます。では、具体的にどのくらいの期間で慣れていくのでしょうか?
矯正装置の違和感はいつまで続く?装置別の慣れる期間
矯正装置に慣れるまでの期間は、装置のタイプや個人差によって異なります。一般的な目安として、以下のような期間が考えられます。
ワイヤー矯正(表側・裏側)の場合
ワイヤー矯正を装着した直後は、口内の違和感や痛みを感じることが多いです。装置が粘膜に当たることによる不快感は、3~4日がピークとなり、約1週間程度で徐々に和らいでいきます。
また、歯が動き始めることによる痛みは、装着から3~6時間後に始まり、約36時間後にピークを迎えます。その後、徐々に痛みは減少し、1週間程度で落ち着くことが多いです。
裏側矯正の場合は、舌に触れやすいため、発音のしづらさや舌の違和感が強く出ることがあります。これらの症状は2週間程度で徐々に改善していきますが、完全に慣れるまでは1ヶ月ほどかかる方もいます。
マウスピース矯正の場合
マウスピース矯正は、ブラケットやワイヤーのような突起物がないため、口内炎などのリスクは低いです。しかし、装置全体が歯を覆うことによる違和感や、咬み合わせの変化を感じることがあります。
多くの場合、マウスピース矯正の違和感は3~5日程度で軽減し、1~2週間で慣れることが多いです。ただし、新しいマウスピースに交換するたびに、一時的に違和感が再び現れることがあります。これは通常、1~2日程度で落ち着きます。

小児矯正装置の場合
お子さまの場合、成人に比べて骨が柔らかく歯が動きやすいため、痛みを感じにくい傾向があります。また、新しい環境への適応能力も高いため、装置への慣れも早いことが多いです。
マイオブレースなどの取り外し可能な装置では、装着時間が限られているため、違和感も比較的軽度です。多くの場合、1週間程度で慣れることができます。
どうですか?あなたやお子さまが感じている違和感は、このような期間で落ち着くことが多いのです。しかし、個人差もありますので、あまりに長く不快感が続く場合は歯科医師に相談することをおすすめします。
違和感の種類と対処法〜痛みから発音の問題まで〜
矯正装置による違和感は様々な形で現れます。それぞれの症状に合わせた対処法を知っておくと、矯正生活をより快適に過ごせるようになります。
物理的な痛みへの対処法
矯正装置による痛みは、主に以下の2種類に分けられます。
- ・装置が粘膜に当たることによる痛み
- ・歯が動くことによる痛み
装置が粘膜に当たる痛みには、矯正用ワックスが効果的です。痛みを感じる装置の部分にワックスを付けることで、粘膜との接触を防ぎ、痛みを軽減できます。
歯が動くことによる痛みには、冷たい飲み物を少しずつ飲んだり、柔らかい食べ物を選んだりすることで対応できます。どうしても痛みが強い場合は、歯科医師の指示のもと、市販の鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。
発音の問題と対処法
矯正装置の装着により、一時的に発音がしづらくなることがあります。特に「さ行」「た行」「ら行」などの発音に影響が出やすいです。
この問題に対しては、意識的に舌の位置を調整したり、ゆっくりと話す練習をしたりすることで改善していきます。また、声に出して本を読むなどの発音練習も効果的です。
裏側矯正の場合は特に発音への影響が大きいため、慣れるまでに時間がかかることを理解しておきましょう。多くの患者さんは2週間から1ヶ月程度で徐々に改善していきます。
唾液量の変化と口内乾燥

矯正装置を装着すると、口内の異物感から唾液の分泌量が増えることがあります。これは体の自然な反応であり、通常は1~2週間程度で正常に戻ります。
反対に、マウスピース矯正では口呼吸が増えることで口内が乾燥することもあります。この場合は、こまめに水分を補給したり、保湿効果のあるマウスウォッシュを使用したりすることで対応できます。
唾液の分泌量が多い場合は、就寝時にタオルを枕に敷くなどの工夫も効果的です。
私の臨床経験からも、これらの違和感は一時的なものであり、多くの患者さんは適切な対処法を実践することで快適に矯正治療を続けられるようになります。あなたも少しの工夫と時間で、必ず装置に慣れることができるでしょう。
矯正装置に早く慣れるためのコツと生活習慣
矯正装置への適応をスムーズにするためには、いくつかの工夫が効果的です。日常生活の中で取り入れやすいコツをご紹介します。
食事の工夫で違和感を軽減
矯正装置を装着した直後は、噛むことによる痛みを感じることがあります。この時期は、以下のような食事の工夫が有効です。
- ・柔らかい食べ物を中心にした食事(おかゆ、パスタ、煮込み料理など)
- ・小さく切った食べ物を選ぶ
- ・極端に熱いものや冷たいものを避ける
- ・硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避ける
特に装置の調整直後は、歯に負担をかけない食事を心がけましょう。徐々に通常の食事に戻していくことで、自然と装置にも慣れていきます。
口腔ケアの徹底で不快感を予防
矯正装置を装着していると、食べかすが装置に付着しやすくなります。これが不快感や口臭の原因となることもあるため、丁寧な口腔ケアが重要です。
ワイヤー矯正の場合は、矯正用の歯ブラシや歯間ブラシを使用して、装置の周りや歯と歯の間もしっかり清掃しましょう。マウスピース矯正では、装置を外して食事をした後、必ず歯磨きをしてから装置を戻すことが大切です。
装置に慣れるための積極的な使用
マウスピース矯正や取り外し可能な装置の場合、違和感を理由に装着時間が短くなりがちです。しかし、指示された装着時間を守ることが、早く慣れるためのコツでもあります。
マウスピース矯正では、1日20時間以上の装着が推奨されています。最初は違和感があっても、積極的に装着することで、体が早く適応していきます。
また、新しいマウスピースに交換する際は、就寝前に行うと良いでしょう。睡眠中に新しい装置に慣れる時間ができるため、違和感を感じる時間が短くなります。
リラクゼーション法で心理的ストレスを軽減
矯正装置の違和感は、心理的なストレスとも関連しています。リラックスした状態では、違和感をあまり気にしなくなることがあります。
深呼吸や軽い運動、好きな音楽を聴くなど、自分に合ったリラクゼーション法を取り入れることで、装置への適応がスムーズになることもあります。
矯正治療は長期間にわたるものですが、これらのコツを実践することで、より快適に治療を続けることができます。最初の数週間を乗り越えれば、多くの方は装置の存在をほとんど気にしなくなります。
いつまでも違和感が続く場合の対処法と受診のタイミング
多くの場合、矯正装置による違和感は時間とともに軽減していきますが、中には長期間にわたって不快感が続くケースもあります。そのような場合、どのように対応すべきでしょうか。
長期間続く違和感のサイン
以下のような症状が2週間以上続く場合は、歯科医師に相談することをおすすめします。
- ・強い痛みや不快感が改善しない
- ・装置が粘膜を傷つけ、口内炎が繰り返し発生する
- ・噛み合わせの違和感が強く、食事に支障がある
- ・発音の問題が改善せず、日常会話に支障がある
- ・顎関節の痛みや音(カクカク音、ポキポキ音)が発生している
これらの症状は、装置の調整が必要なサインかもしれません。我慢せずに担当医に相談しましょう。
装置の調整が必要なケース
矯正装置による違和感が長引く場合、以下のような調整が必要になることがあります。
- ・ワイヤーやブラケットの位置調整
- ・ワイヤーの強さの変更
- ・マウスピースのフィット感の確認と調整
- ・装置のエッジ部分の研磨
特にワイヤー矯正では、装置が緩んだり外れたりすることで、予期せぬ不快感が生じることもあります。定期的な通院と調整が重要です。
マウスピース矯正の場合、装着が不十分だったり、サイズが合っていなかったりすると、違和感が続くことがあります。担当医に相談し、適切なフィット感を確保しましょう。
個人差を考慮した対応の重要性
矯正装置への適応には個人差があります。同じ装置でも、すぐに慣れる方もいれば、長期間違和感を感じる方もいます。
年齢や口腔内の状態、過去の歯科治療経験なども影響するため、他の人と比較せず、自分のペースで適応していくことが大切です。
担当医とのコミュニケーションを密にし、違和感や不安を遠慮なく相談することで、より快適な矯正治療を進めることができます。
矯正治療は長い道のりですが、最終的には美しい歯並びという素晴らしい結果が待っています。一時的な違和感を乗り越え、理想の笑顔を手に入れましょう。
まとめ:矯正装置の違和感を乗り越えて理想の歯並びへ
矯正装置による違和感は、多くの患者さんが経験するものです。しかし、その多くは一時的なものであり、適切な対処法と時間の経過によって改善していきます。
ワイヤー矯正では装着後1週間程度、マウスピース矯正では3〜5日程度で主な違和感が軽減することが多いです。個人差はありますが、多くの場合、2週間から1ヶ月程度で装置の存在を気にしなくなります。
違和感を軽減するためには、矯正用ワックスの使用、柔らかい食べ物の選択、丁寧な口腔ケアなどの工夫が効果的です。また、指示された装着時間を守ることが、早く慣れるための近道でもあります。
長期間にわたって強い不快感が続く場合は、我慢せずに担当医に相談しましょう。装置の調整が必要なケースもあります。
矯正治療は長期間にわたるものですが、その先には理想の歯並びと健康的な口腔環境が待っています。一時的な違和感を乗り越え、素晴らしい笑顔を手に入れるために、ぜひ前向きに治療を続けていきましょう。
むらせ歯科千葉みなと院では、矯正治療に関する様々なご相談に対応しています。矯正装置の違和感でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。経験豊富な日本矯正歯科学会有資格者が、あなたの矯正治療をサポートいたします。







